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管制承認
- ATC Clearance -
航空機は、マイカーと違い、パイロットが好きな時に好きな経路で飛ぶということはできません。そのため、出発する航空機は、まず最初に「デリバリー (Delivery)」という機関を呼び出し、「管制承認」という飛行の許可をもらいます。
デリバリー (Delivery)では事前に提出された「飛行計画書」(フライトプラン)に基づいて作成された「飛行承認」の以下の内容をパイロットへ伝達します。
- 管制承認限界点
どの地点までの飛行承認かを示すものですが、ほとんどの場合、到着空港名となります。
- 標準計器出発方式 (SID)
空港毎にあらかじめいくつか決められている出発経路のことをいいます。SIDとは「Standard Instrument Departure」の略です。
- 転移経路(トランジッション)
前述の標準計器出発方式の補助的に示めされる経路です。
- 飛行経路
前述の管制承認限界点まで、どのような経路で飛行するが示めされます。
- 飛行高度
前述の飛行経路を、どれくらいの高度で飛行するかを示します。
- 出発後の交信周波数
出発機管制(ディパーチャ (Departure))が行われている場合、その周波数を示します。
- トランスポンダ・コード
飛行中の航空機を航空交通管制機関で識別できるようにするためのコードのことで「スクォーク (Squawk)」と呼ばれることもあります。
デリバリーに関する交信手順は、およそ次の通りです。(1)
出発5分前になったら、パイロットから管制官へ「飛行承認」を求める要求を伝達します。
(→交信例1)
(2)
数分後、管制官からパイロットへ当該機に対する飛行承認の内容が伝達されます。この内容はとても重要なので必ず、復唱(リードバック)されます。
その後、グラウンド・コントロール(またはランプ・コントロール)がある場合は、その周波数に切り換えて以後の指示を受けるように、伝達されます。
(→交信例2)
【交信例1】
新千歳空港発→東京国際空港(羽田空港)行ジャスナ航空789便に対する出発承認要求
(1−1)パイロット→管制官 " Chitose Delivery, JASNA AIR 789 " (チトセデリバリー, ジャスナエア セブンエイトナイナー)「千歳デリバリー、こちら、ジャスナ航空789便です。」
(1−2)管制官→パイロット " JASNA AIR 789, Chitose Delivery, Go ahead " (ジャスナエア セブンエイトナイナー, チトセデリバリー, ゴーアヘッド)「ジャスナ航空789便、こちら、千歳デリバリーです、どうぞ。」
(1−3)パイロット→管制官 " JASNA AIR 789, 5 minutes before to Tokyo International Airport, Spot 12 " (ジャスナエア セブンエイトナイナー, ファイフ ミニッツ ビフォー トゥ トウキョウ インターナショナル エアポート, スポット ワントゥー)「こちら、ジャスナ航空789便。出発5分前になりました
ので、東京国際空港までの管制承認を願います。スポット(駐機場)は12番です。」
(1−4)管制官→パイロット " JASNA AIR 789, Rogar, Stand by for clearance " (ジャスナエア セブンエイトナイナー, ラジャー, スタンバイ フォー クラアランス)「ジャスナ航空789便、了解しました。管制承認が下りるまでお待ちください。」
【交信例2】
新千歳空港発→東京国際空港(羽田空港)行ジャスナ航空789便に対する飛行承認
(2−1) 管制官→パイロット " JASNA AIR 789, Clearance ready to copy?" (ジャスナエア セブンエイトナイナー, クリアランス レディ トゥ コピー?)「ジャスナ航空789便、飛行承認の書き取りの準備は良いですか?」
(2−2) パイロット→管制官 " JASNA AIR 789, Ready " (ジャスナエア セブンエイトナイナー, レディ)「ジャスナ航空789便です。準備できました。」
(2−3)
管制官→パイロット " JASNA AIR 789, Cleared to Tokyo International Airport, via TOBBY ONE departure, TOBBY Flight planned route ,Maintain FL350, Departure frequency 123.4, Squawk 2245, Read back " (ジャスナエア セブンエイトナイナー, クリアードトゥ トウキョウ インターナショナル エアポート, バイア トビーワン ディパーチャ, トビー フライトプランドルート, メインテン フライトレベル トゥリーファイフゼロ ディパーチャ フレクェンシー ワントゥートゥリー デシマル フォア, スクォーク トゥートゥーフォアファイフ, リードバック)「ジャスナ航空789便、東京国際空港までの飛行を許可します。標準計器出発方式は「TOBBY 1」、出発後最初に向かう無線標識は「TOBBY」地点、それ以降の飛行経路は飛行計画書(フライトプラン)の通りです。飛行高度は、フライトレベル350(35,000フィート)を維持して下さい。出発後、出発機管制と周波数123.4MHzで交信して下さい。トランスポンダコードは2245をセットして下さい。復唱して下さい。」
(2−4) パイロット→管制官 " JASNA AIR 789, Cleared to Tokyo International Airport, via TOBBY ONE departure, TOBBY Flight planned route ,Maintain FL350, Departure frequency 123.4, Squawk 2245 " (ジャスナエア セブンエイトナイナー, クリアードトゥ トウキョウ インターナショナル エアポート, バイア トビーワン ディパーチャ, トビー フライトプランドルート, メインテン フライトレベル トゥリーファイフゼロ ディパーチャ フレクェンシー ワントゥートゥリー デシマル フォア, スクォーク トゥートゥーフォアファイフ ) (2−5) 管制官→パイロット " JASNA AIR 789, Read back is correct Contact Ground 112.1 " (ジャスナエア セブンエイトナイナー, リードバック イズ コレクト コンタクト グラウンド ワンワントゥー デシマル ワン)「ジャスナ航空789便、復唱内容は正しいです。周波数112.1MHzでグラウンド・コントロールと交信して下さい。」
(2−6) パイロット→管制官 " Contact Ground 112.1, JASNA AIR 789 " (コンタクト グラウンド ワンワントゥー デシマル ワン, ジャスナエア セブンエイトナイナー)「周波数112.1でグラウンド・コントロールと交信します。(今の交信に返答したのは)ジャスナ航空789便(です。)」
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